第30回:「Gを感じるドライブ」
掲載日:2007年12月5日
執筆者:株式会社スクウェイブ
代表取締役社長 黒須 豊
今日は、趣味の話をしてみたい。今までタテマエとホンネのコーナーにご登場頂いたゲストの方々にも、趣味がドライブだとおっしゃる方も少なくなかったが、かく言う自分も最近ドライブが実は好きだったことに気付いた次第である。
何で、そんな年代になってと思われる方も多いと思う。確かに自分でもそう思うのだが、実は過去数年、夜遅くにドライブする機会が増えたのである。日中は当然そんな時間が取れないこともあるし、道も混んでいてイライラするばかりだが、夜、しかも深夜に掛けては流石に東京の道も空いてくる。
したがって、飛ばすには好条件が整うわけである。無論、無謀な運転をするつもりはない。純粋にドライブを楽しみたいだけである。日中の東京は、私から言わせればドライブにならず、単に我慢大会になっているだけのことが多い。要は、夜になってようやく普通のドライブが可能になるのだ。
ところで、ドライブがお好きな皆さん、どんな車をお乗りだろうか。 私は2年前に人生で初めてクーペ・タイプの車を手に入れた。 ターボエンジンを搭載した排気量約1800ccの車である。 少し前にフルモデル・チェンジがあり、現在の最新モデルは少し大きく不恰好になってしまった。個人的には前代のモデルを購入しておいて良かったと思っている。
排気量は大きくないが、ターボエンジンの出来が良いせいなのか、とにかく初めてG(加速度)を感じるドライブを実体験することになって最初はびっくりしたが、最近は、それがないともはやドライブとは言えないような気がしてきている。とりわけ高速の合流時など、圧倒的な違いを示してくれる。思わず“流石”と呟いてしまうくらいである。尚くどいようだが、加速感が楽しいのであって、違法な高速度の走行をしているわけでない。 高速道路ならあくまで時速100kmに達するまえでの加速感が楽しいのである。
さて、私は無類の車好きというわけではないので、そんなにたくさんの車を乗りついできたわけではない。人生で自分が取得した車の台数は累計で5台に過ぎない。ただし、その5台のいずれもが異なるメーカーの車である。日本車も外車も含まれている。
たった5台の乗用車ではあるが、それぞれ全てに個性があって、皆違った印象を私に与えてくれた。別に重機やトラックが含まれているわけではない。全てごく普通の車である。しかし、特にクーペ・タイプの車に乗ってから思ったことは、カタログなどで得ていた情報と、実際に自分で運転してみた印象は全く違うということである。他の4台とも、やはりカタログ値と実感は異なっている。
5台ともみんな違うのである。例えば、似たような燃費のスペックであっても、やはり実際の燃費は異なる。 それは、色々な理由があるだろう。例えば、片方の車はあまりアクセルを踏み込まずに運転でき、もう片方は踏み込まないと加速感が悪いなど、運転のしかたによっても変わるだろう。いずれにしても、実態として皆異なるということが、各メーカーの申告ではなく、自分で実感として比較してみてわかったことである。
もしも私が人生でそのクーペしか知らなければ、Gを感じるドライブはごく当たり前と思い込んでいるだろう。 要は先入観である。先入観が良くないことはITマネジメントにおいても同じである。皆さんも是非先入観を捨てて、自分の愛車も、また、自社の状況もじっくり見直してみてはいかがだろうか。ベンダーの自己申告ではない“客観的な比較”は、既存の先入観を超越した驚きを与えてくれるかも知れない。