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第40回:国家の情報システム-効率の悪さNo.1は100万年に1度の代物

第40回:国家の情報システム-効率の悪さNo.1は100万年に1度の代物

掲載日:2011年7月21日

執筆者:株式会社スクウェイブ
代表取締役社長
黒須 豊

スクウェイブは、昨年に引き続き今年も国家の府省等の情報システム予算に係る評価をお手伝いすることになった(公知の事実)。これは、国の情報戦略の根幹の1つとも言うべき情報システムの最適化計画に則して、情報システムを開発案件と運用案件合わせて500案件以上を毎年評価し、最終的には、財務省主計局の予算査定に繋げるためのものである。

スクウェイブは、民間企業の情報システム予算関連の評価のためにSLRを展開し始めて丸7年を過ぎ、SLR参加企業も80社に手が届く一歩手前のところまで来ている。これらの民間企業における膨大な調査から得られたデータやノウハウは国家の情報システム予算を評価するうえでも大変有効であるが、国との違いとしては、総じて、民間企業よりも国家の費用は高止まりする傾向にあることである。民間企業がリーマンショック以降、激烈なコストダウンの下で頑張っている中、その違いが、ここ数年はより鮮明になっているという印象が強い。

もちろん、国には国の事情があり、それは、民間企業とは確かに異なるケースも存在する。国家安全保障上の仕組みなどにおいて、一部例外的に特殊な事情が存在することは一般国民からも想像可能であり、それらについては許容すべきものと考えられる。

しかし、どうみても、民間企業との条件的な差異はあまり無いか、あるいは、全く無いにも関わらずに高止まりしているケースも残念ながら少なく無い。というか、多いのが実態と言わざるを得ない。

例えば某省の某システムのコスト効率は、驚いたことに平均との乖離が6σ以上であった。このようなシステムに遭遇する確率は5億分の1以下であり、仮に毎年500個の新たなシステムを評価するとしても(実際には同じ案件が多いのでもっと少ない)、100万年に1度しか出会わないほどの代物である。つい先だって、日本女子ゴルフの有村選手が同一ラウンドでアルバトロスとホールインワインを達成し、これが3万年に一度の確率と言われている。某システムのコスト効率がいかに悪いかがおわかりいただけるだろう。

震災が発生し、その復興財源を増税で賄おうということが議論される昨今、1円たりとも税金を無駄にすべきではなく、国家における情報システムにおいても、可能な限り効率化を促進することは必須である。一方、本当に必要性が高いシステムも実感として存在する。それらについては、効率性は担保しつつも、是非、十分な予算が回るようにすべきである。スクウェイブとしては、その点は昨年にも増して十分念頭に置いたうえで適切な評価を行い、予算係りの参考となるべく全力を尽くす所存である。

最後に、これは国家全体の投資戦略に繋がる話であるが、国家が復興するうえで、ただでさえ、先進諸外国よりも高止まりしている我が国の法人税は是非とも下げるべきである。企業が活性化しなければ、雇用は増加しないし、結果的に国家財政も安定しない。無駄に高い情報システム予算を浪費するくらいなら、是非ともそれらの資金を復興に、あるいは、法人税減税の原資としてもらいたいと願う経営者は私だけではないだろう。

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