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第72回:テレワーク環境でも役立つ『仕事のプライオリティ付け』

第72回:テレワーク環境でも役立つ『仕事のプライオリティ付け』

掲載日:2024年7月1日
執筆者:株式会社スクウェイブ
エグゼクティブ・ディレクター
渡部 三千雄

今月、2024年6月から定額減税がスタートした。主旨や減税方法についてもいろいろ議論があるようだが、IT業界に携わる身としては、昨今の、定額減税額を6月給与明細書に記す、ということについて、給与計算システムを担当しているIT責任者の苦労は如何ほどかと、気を病んでいる。

財務省が行っている法人企業調査の対象法人は300万社以上ある。各社、給与明細書を変更するためのシステム改修費用が100万円と想定し、クラウドサービスの利用が拡がる現状においてでも3社に1社にてシステム改修が必要と仮定すると総額1兆円のシステム改修費用がかかることになる。各法人のIT責任者は、予算の捻出にも苦慮していると想像する。予算もついていない、対応すべき納期も迫っている中、IT責任者のシステム改修などのテーマのプライオリティはどうなるのか、仕事のプライオリティ付けについて、私の思うところを以下に記す。

昨今、コロナ禍で普及したテレワークについては、今でも多くの企業で利用していると推測する。特に、IT業界においては、端末とネットワークさえ整えられれば、ほとんどの業務はテレワークでも業務遂行可能である。テレワーク環境において、各自はどのような考えで仕事のプライオリティ付けを行っているか、気になっている。

職場で勤務している時には、周りに上司や先輩や後輩がいて、いつでも簡単にちょっとした時間、立ち話などで、仕事に関する進め方などを確認することが出来る。テレワーク環境でも、web会議やSNSを利用すれば、同様のことが手軽にできるので職場で仕事をしている時とさほど差は無い。ただ、どの仕事から着手するかなどは、自己判断(セルフマネジメント)の範疇となることが多い。仕事には当然納期があり、それまでに完了すれば問題は無いと考えるのが普通である。セルフマネジメントにおいて、私が仕事のプライオリティ付けで心がけている点(ここでは信条と言う)について、以下に2点紹介する。

 第一は、過去の経験則で、その仕事の作業時間を見積もることが出来る仕事については、プライオリティを下げて仕事に着手することを私は心がけている。ただし、それでも、自分の納期としては、指定された納期に対して、『査閲を受けてブラッシュアップするサイクルを1回は設定できるように前倒しの納期』としている。よく、指定された納期を自分の作業納期と捉え、納期ぎりぎりに提出する人も少なくないが、何某らの修正があると考えた方が安全であると考える。特に、テレワーク環境においては、作業の途中でレビューを受ける機会は職場に比べて少なくなりがちであり、このような場合、私は、納期を前倒しして完了することを信条としている。

第二は、第一に反して、過去の経験則でその作業時間を見積もることが難しい、つまり、自分にとって初めての仕事の場合については、プライオリティを最大限上げて、ASAP(As-Soon-As-Possible)で仕事に着手することを心がけている。
コンサルタントという職種柄、初めてのケースに遭遇することが多い。この場合は、自分だけで解決するのではなく有識者の意見を聞きながらより良いアウトプットに仕上げる必要がある。私としては、最初に自分の意見をまとめ、有識者に何を聞きたいのか、どのようなアドバイスが欲しいのかを明確にするために、具体的な素案のさらに素案(完成度としては3割程度)を早期に作成する。
次のステップとして、有識者のアドバイスを受けた後、ブラッシュアップした上でようやく素案(完成度として7割程度)を作成して、承認者の査閲を受ける。
最終的に、査閲結果を反映したアウトプット(完成度99%)を完成させ、納期前に提出する。アウトプットの質についても、承認者や有識者のアドバイスを反映した内容となり、満足な結果となる。

ここでのポイントは、『始動を早めること、中間地点で有識者のアドバイスを受けること、自らが主体的にセルフマネジメントを実行すること』を信条としている点である。これらによって、上司や先輩がそばにいないテレワーク環境下であっても、納期と品質を担保したアウトプットを作成することが可能となる。

最後に、前述の両ケースに共通している信条がある。それは、「ボール(タスク)は受け取ったら、出来るだけ早くタスクを完了させ次の工程に回し、『タスクを手元に持たない』」ということである。自分がボールを持ち続けると、仕事(タスクの集合体)の完成時期が遅れるばかりではなく、内容についても、不具合などの気づきが遅くなってブラッシュアップのタイミングを逸することもあり得る。
さらに、テレワーク環境では、メンバー間の進捗が見え難くなりがちであるが、自分がボールを持たないことで、後工程のタスクを担当するメンバーに対して、前工程の進捗は遅れることが無いという安心感と後工程担当者の検討時間に余裕を持たせることもできる。

今まで述べた信条は、あくまでも私の信条であって、読者の皆さんにとってすべてが賛同を得られる情報ではないかもしれないが、IT業界に数十年間席をおいた経験から得た教訓であり、一つでも参考になれば幸甚である。また、当社のコンサルタントは、数多くのIT課題の解決やプロジェクト推進の経験を積んだ強者の集まりであり、クライアント様のIT課題の解決策を導くお手伝いをスクウェイブは得意としている。ご興味があれば、是非、お問合せ頂きたい。

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